今号の目次
01 『恋愛方式』早川洋平エッセイ〈13〉
02 「僕たち3人のどん底時代!人生のターニングポイント語ります」石田衣良『大人の放課後ラジオ』〈82〉
03 「ワクチン接種について」北川八郎『人生を変える出会い』〈239〉
【尖らない勇気】東 浩紀さん(批評家・作家)
専門は哲学、表象文化論、情報社会論。21歳で評論家デビュー。哲学からサブカルまで広く深い知識と慧眼を持ち、長きにわたり一線で活躍してきた東浩紀さん。
2010年に創業したゲンロンの苦闘の歴史を赤裸々に綴った『ゲンロン戦記』は昨年末に発売されベストセラーになった。
なぜ哲学者は起業したのか。「中道」にこだわり続けるのか。創業11年を迎えた知のプラットフォーム「ゲンロン」の今とこれからは?
話をきいた。
キーワードは「尖らない」。
■【尖らない勇気】東 浩紀さん(批評家・作家)
https://life-upd.com/archives/6386
〈新番組〉一生モノの人生哲学を。【成田儀則『愚か者がやっと気付いた成幸法則』】
学校に行けない子どもたちからオリンピック選手をはじめとするアスリート、企業経営者・マネージャー・新入社員……メンタルサポーターとして20年間にわたり講演・研修を行ってきた成田儀則さんが、いまと未来を変える人生哲学の話をお届けする新番組がスタートしました。聞き手とプロデュースは僕、早川洋平がつとめます。
成田さんとの出会いは今年春、クライアントのIさんからのご紹介でした。国内外有名無名老若男女……これまで20年近くインタビュー生活を続けてきましたが、お目にかかった瞬間に「この人は本物だ」とわかるお相手がいます。成田さんはまさにそんな方でした。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」をこれほど体現している方をぼくは他に知りません。そんな彼から「『人の無限の可能性』を世の中に伝えるために力を貸して欲しい」とお話いただき生まれたのが今回の番組です。
実はこの番組、もともとは「心に刻みたい人生哲学のはなし」というタイトルでリリースする予定でした。よくある自己啓発書やビジネス書のような「短期的・表層的な成功本」や「うまくいった人の体験談や精神論」とは一線を画したかったからです。
しかし、成田さんからどうしても『愚か者がやっと気付いた成幸法則』にしたいとの要望をいただき、このタイトルになりました。
「自分は天才型ではなく、本当にたくさんの失敗をしてきた愚か者です。でも、だからこそ人がどんな失敗にはまりやすいか。はまらないためにはどうしたらいいか。やっと気づけたことがたくさんあります。それを具体的にひとりでも多くの人に伝えたい。だからこのタイトルにどうしてもさせてもらえないかな」
彼の言葉の通り、こうした人生に本当に大切なことをこれほどまでに「ゼロ」から「わかりやすく」「具体的」かつ「実践的」に「よりそって」話せる人にぼくはお目にかかったことがありません。
自己啓発や成功法則の類いはちょっと……(ぼくがまさにそうです)……そんな方にこそ視聴いただきたい「人生哲学」の番組です。
番組は毎週水曜日、YouTube(映像あり)とポッドキャストで配信中。現在第三回まで更新しています!
【成田儀則さんプロフィール】なりた・よしのり/1961年生まれ神奈川葉山町育ち。小学6年から父の影響でテニスを始める。将来プロになりたいと、中央大学庭球部に入部、大切な試合になると、メンタルの弱さで全て負ける。結局レギュラーになれず、四年生で寮長で大学生活を終える。日本火災海上に入社し社会人をスタート、6年間お世話になった後に独立、会社を設立し、新たなチャレンジをスタート。しかし、事業に失敗。億の借金を背負う。どん底の真っ只中、能力開発の草分け、株式会社TBR故夏目志郎氏に師事、ブライアン・トレーシーのプログラムを徹底的に学び、主席トレーナーになる。夏目氏引退を機に、有限会社ヒューマンリンクを設立、企業研修からオリンピック選手のメンタルトレーニング、学校に行けない子供達のカウンセリングまで、幅広く活躍、現在にいたる。
01 エッセイ〈13〉
世界最大級の露天風呂「ブルーラグーン」。アイスランド来訪時に訪れた。料金約6,000円(当時)はスーパー銭湯に慣れた僕からすると高額。だが、白濁した青色(シリカの微粒子)の湯が一面に広がる光景は壮観だった(2018年撮影)
『恋愛方式』 早川洋平
「会社の本体はむしろ事務」
批評家・作家で株式会社ゲンロンの創業者でもある東浩紀さんが著書『ゲンロン戦記』の冒頭で記したひとこと。東大大学院修了。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。21歳で批評家デビュー。哲学からサブカルまで広く深い知識と慧眼を持ち、長きにわたり一線で活躍している彼から、冒頭の言葉が出てきたのは意外だった。
本書によれば、東さんは創業当初「ゲンロンはコンテンツをつくる人間だけが集まる組織であるべきだ、経理や総務のような面倒な部分はすべて外注で賄うべきだ」と思っていたという。しかし創業11年を経て今は「当時の考えが間違っていた」と記している。商品は事務がしっかりしていないと生み出せない。クリエイターだけが重要で事務は補助に過ぎないという発想は手痛いしっぺ返しを食らうことになる、と。本書で語られる数々の苦い経験を通して東さんはそれを痛感したそうだ。
本書を読み終えたとき、僕は8年前にロンドンで取材した内海直仁さん(ジュエリーデザイナー)とのやりとりを思い出した。
──内海さんがいちばん大切にしている考え方は何ですか?
どれだけ儲かるかよりどれだけ自分がクリエイティブでいられるかです。
──そのためにはどうしたらいいのですか?
自分がクリエイティブになれる環境をどれだけクリエイトできるか?に尽きると思います。
デザイナーとして成功をおさめたとき、内海さんのもとには膨大な製作の依頼が入ったという。売上をさらに上げる好機。自分以外のデザイナーを大量に雇い「量産体制」に入ることも考えた。だが、売上を伸ばすことを「あえて」止め、自分が最も創造性を発揮できるアトリエでジュエリーをつくることを選んだ。どれだけ儲かるかより、どれだけクリエイティブでいられるか──彼がこの信条を貫くことで結果的に「事業も成功させ続けている」ことも見逃せない。
「環境をクリエイトして自分が本当にやるべき仕事に集中する時間を広げることが大切」と語っていた内海さん。事務という具体的な言葉こそ出てこなかったが、何かの「創造」においていかに周囲の環境を整えることが大切か(サポートしてくれる周囲の人たちを集め大切にできるか)という本質的なメッセージは、東さんの言葉に通ずるように感じた。
考えてみれば、僕自身が何とかやってこられたのは起業後かなり早い段階でアシスタントを探し、クリエイティブ以外の事務を担ってもらってきたことが大きい。とはいえ、これは僕が優れていたわけではなく、インタビューを通してお目にかかった経営者や起業家の多くが強く勧めてくれていたからだった。彼らのアドバイスがなかったら、今はもう僕の会社は存続していなかったかもしれない。
そんなことを思い出させてくれた東さんに、僕は会ってみたいと思った。そこで実現したのが今月のLife Update Unlimitedインタビューだった。取材中盤、「会社の本体はむしろ事務」に関連して、僕自身が起業家生活で同じように学び取ったある教訓をどう思うか、東さんにぶつけてみた。
それは「自分のファンをスタッフにすることはリスクを伴う」ということだ。
ファンでいてくれる人と働くのが絶対にNGという意味ではない。ただ、その会社や組織の働き方や理念、目指す先など「誰かのファンという以外の」要素に共感してもらっているかが、採用において非常に重要だということだ。
恥ずかしながら、僕は起業当初はこれを全く考えず、「早川さんと働きたいです!」と言ってくれる人がいれば、ほとんど無条件に受け入れていた(とにかく気持ちがありがたかった)。けれど、双方ともその想いだけだと、必ずあとでひづみが出て残念な別れになってしまった。例外なく。
「いやあ、本当にそうなんですよ。全くその通り」
苦い過去を話す僕に東さんは心から共感し、こう続けた。
「それって本当に大切で、ゲンロンのお客さんもすべてが『東浩紀』のファンや読書ではありません。もちろん僕の主張に触れたくて来ている人はいますが、多数派ではありません」
彼は、ゲンロンを個人のカリスマ性で引っ張っていく「オンラインサロン」のようなものではなく、複数の書き手やクリエイターでつくっていくプラットフォームにしていくことを目指している。創りたいのは「信者」ではなく、「観客」。「信者は想ってくれているときはいいが、ひとたび嫌いになると全否定の『アンチ』になってしまう」からだ。愛憎は表裏一体というものか。
ある意味、仕事に恋愛が入ってしまうとそれは難しいはずだ。話を聞きながら僕の採用におけるほろ苦い経験の多くは、この「恋愛方式」をとっていたことに起因するのかもしれないと思った。
ちなみに、僕が最初に採用したアシスタント(現マネージャー)は僕のファンではなく古くからの友人だ。だから僕に対しても、言うべきことはずけずけ言ってくれるし、採用の初期段階はすべて彼女が担ってくれている。彼女曰く「早川さんだとファンだからというだけで採用してしまいますから」。だから僕が採用に関わるのは最終段階。とにかく「キクタスという船に乗りたいか、乗れるか」ということにフォーカスして、できるだけ深くインタビューして最終決定している。もちろんそれでも100%うまく行くわけではないけれど、これで随分「不幸なお見合い」は減った。
そんなわけで、いまのキクタスのスタッフは誤解を恐れずに言えば、誰一人僕のファンではない(こう書くとちょっと寂しいけど笑)。イエスマンになることはないし、むしろ「それはおかしいと思います」「このやり方の方がいいんじゃないですか」と臆せず言ってくれる。元来打たれ弱い僕は時に凹んだり、一瞬腹を立てたりすることもあるけれど(汗)、みな本当に会社を想い真摯に働き続けてくれている(全員が勤続3年以上!)ことには、ただただ感謝しかない。彼ら彼女らのおかげで、僕がクリエイティブに専念できているのは間違いない。
「会社の本体は事務にある」
改めて金言だと思う(了)
【早川が直接ガイドします】8/18(水)開催
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相談会は「Zoom」(無料オンラインビデオ会議アプリ)を使用いたします。ネットに繋がるデバイス(PC、スマホ、タブレット)があればどこからでもご参加いただけます。
【開催日時】
8月18日(水)19:30-20:00
※【開催30分前までお申し込み可能】です。
※上記以外の日程も今後追加予定です。詳細は下記URLをご覧ください。
具体的なご質問・ご相談はもちろん、漠然としたご質問・ご相談でも全く問題ありませんので、どうぞお気軽にご参加ください。
▼「オンライン受講無料相談会」詳細・お申し込みはこちらから
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02 【僕たち3人のどん底時代!人生のターニングポイント語ります】石田衣良『大人の放課後ラジオ』〈82〉
映画・マンガ・本、音楽など最新カルチャーから、恋愛&人生相談、ほんのり下ネタまで……『池袋ウエストゲートパーク』『娼年』などのベストセラーで知られる石田衣良さん(小説家)と毎週木曜日にお届けしている『大人の放課後ラジオ』。
今回は衣良さん、ひろなさん、僕がそれぞれのターニングポイントを語り尽くします。僕自身もここまで詳しくぶっちゃけたことはほかにないのではと思います。盛り上がりました。そして、勇気づけられました。
僕たち3人のどん底時代!
人生のターニングポイントについて語ります。
何か新しいことを始めるのは
なにもないどん底の時だよね。
あなたは今人生のどんなポイントを生きていますか。
ちなみに僕は 20代の前半ずっと
フリーターでしのいでいました。
非正規のみんな頑張ろう!……石田衣良
【抱腹絶倒!フリートークスペシャル】
『大人の放課後ラジオ』マガジン版好評配信中
人類史上最高のIQをもつ天才フォン・ノイマンは、どんな変人だったのか?
普通のアメリカ人が徹底的に死を語る、ターケルの名著『死について』、
そしてクラブハウスに負けない抱腹絶倒フリートークSPなどなど、
オトラジっぽいセレクトでお届けする活字版です!
(石田衣良さんより)
今号も武井ひろなさんとぼく早川のエッセイもお届けしています!
【目次】
最新のエンタメ話が盛りだくさん! オトラジフリートークスペシャル
あなたも億が稼げるかも!? 『小説家になって億を稼ごう』
人類史上最高のIQを持つ『フォン・ノイマンの哲学』
『死について!』市井の声を拾って書ききった至高のインタビュー集
恋と仕事と社会のQ&A「Hが気持ち良くて不倫をやめることができずにいます」「『幸せの受け入れ方』が分かりません」ほか
書き下ろしエッセイ
『セミソロキャンプ』 早川洋平
『オトラジ裏話 その6』 武井ひろな
『品川ヒロシくんと対談』 石田衣良
■『抱腹絶倒!フリートークスペシャル』(大人の放課後ラジオ2021年7月号)
税込み¥380(Kindle Unlimitedは無料です!)
https://bit.ly/3rOHn4A
03「ワクチン接種について」北川八郎『人生を変える出会い』〈239〉
阿蘇山中で陶芸家と農業の二足のわらじを履く生活を30年以上。いっぽうで経営塾や『繁栄の法則』などの執筆を通じて、事業繁栄の法と人の生きる道を説く北川八郎さんが、みなさんから寄せられた人生や仕事ににまつわる悩みにお答えします(毎週火曜日配信中/聞き手・早川洋平)。
今回はだれもが気になる「ワクチン接種について」。聡明な生き方をすれば、間違った情報を見抜けますと語る北川さん。その深意とは。
▼音声プログラム「瞑想の基本と実践」
http://bit.ly/2T38kkj
不安や恐れ、苦しみのさなかにある方、安らかな毎日を送りたい方に向けて北川八郎さんが音声でナビゲートします。
▼「人生を変える出会い」Kindle版(電子書籍)
これまで番組でお届けしてきた200回配信を超えるエピソードの中から、これからの時代を生きるヒントとなる回をピックアップ。
第2弾タイトルは「節目に読みたい言葉」。 今回は「節目に読みたい言葉」「何かに挑戦するあなたへ」「人生を豊かにする光とエネルギー」の3テーマに分けてお届けします。
新年度が始まり新しい環境に移るこの時期にあらためて思い返したい「北川八郎の言葉」を集めました。 音声でゆっくり聴く時間がない時でも、忘れずに覚えておきたいたくさんの気づきをもう一度振り返る機会にご活用ください。
税込み¥500(Kindle Unlimitedは無料です!)
https://j.mp/3jPQ1fn
最後までこのニュースレターをお読み頂きありがとうございました。今週もみなさんにとってアップデートとインスピレーションにあふれた日々となりますように。
早川洋平
バックナンバー
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