「届いた勇気」── そして、今日『会う力』が生まれました(17th Mar. 2025)
📘 『会う力』 ── 本日(3/17)新潮社より刊行!
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おかげさまで、本日発売となりました。
本書は、人生のどん底にいた僕が、「会いたい人に会いに行く」というシンプルな行動で劇的に人生が変わった体験をもとに生まれました。
会う力は「対話で人生をアップデートする」力のこと。時代や環境に左右されず、自分らしく生きたい人に必要なスキルとマインドです。この力があれば、人間関係、お金、健康など、人生のあらゆる場面で必要な知恵や能力を一生涯アップデートできます。これは、「オーダーメイドの自分」をつくりながら、日々をもっと自由に、しなやかに生きる感覚に近いかもしれません。
本書はかつての僕のように人付き合いが苦手な方でも始められるよう、「会う前」「会った時」「会った後」という時系列で構成しました。営業、士業、ライター、YouTuberなど対話が日常の方はもちろん、職場や家族・友人との関係を深めたい方、転職・起業を考える方、フリーランスの方、新社会人や新生活を迎える方にも役立つガイドになっています。
人生をもっと自由にデザインしたい──そんな願いがある方は、ぜひ手に取ってください。あなただけの「人生の教科書」を手に入れる旅に踏み出せば、人との出会いを大切にする中で未来の可能性は驚くほど広がるでしょう。そして、激動の時代の救命ボートにもなるはずです。
ESSAY「届いた勇気」【書籍『会う力』誕生秘話・後編】
前回のエッセイ『手放す勇気』では、ポッドキャスト「人生を変える1冊」から始まり、インタビュアーとして2000人以上の方とお会いしてきた僕の道のりをお話ししました。今回は、書籍『会う力』が誕生するまでの後編をお届けします。
二人の言葉と背中を押された日
石田衣良さんの「洋平くんも、そろそろ本を書いてみたら。プロインタビュアーとしての名刺・挨拶代わりになるよ」という言葉。2016年冬のこの一言が、僕の中で静かに響き始めていました。
そして同じ年、高城剛さんとある離島をご一緒させていただいた際、この本の構想を話すと彼はこう言いました。
「早川君は(自分で電子書籍を出すのではなく)紙で出した方がいいと思うよ。デジタルのフィールドを舞台にしてきたからこそ」
衣良さんと高城さんという二人の言葉が、僕の背中を押してくれました。本以外の講演などでも「会う力」を伝えることに手応えを感じ始めていた僕は、「そろそろ書く時期なのかもしれない」と思い始めました。
アイスランドという「ニンジン」
しかし、書くのが嫌いな僕が実際に執筆を始めたのは2018年のこと。そのきっかけとなったのは、「アイスランド」という大きな「ニンジン」でした。
「何かを成し遂げるには強力なモチベーションが必要」と言いますが、僕の「書く」を動かしたのは、アイスランドだったのです。アイスランドでオーロラとブルーラグーンを見たい──この目標を掲げ、家族とスタッフに頭を下げて、秋にアイスランド行きを決断しました。
すると人間は不思議なもので、俄然やる気が出てくるものです。あれほど筆が進まなかったくせに、「せっかく行くアイスランドだから」と、出発前の数ヶ月、毎日コツコツ書き続けることができました。驚くことに原稿の7割も仕上げることができたのです(笑)
走ることについて僕が語ること
アイスランドで僕が身につけたもう一つの習慣が、今も続く僕の心身のベースをアップデートし続けてくれる「ランニング」です。この習慣がなければ、本を書き上げることも、その後のコロナ禍でのさまざまなピンチを乗り越えることもできなかったと思います。
僕が走ろうと思ったきっかけは、村上春樹さんの『走ることについて語るときに僕の語ること』。書くことと走ること、そして人生についての彼のメモワールが魂の深いところに響きました。
春樹さんも本の中で書いている通り、書くことは想像以上に「フィジカルな営み」です。僕が書くことが苦手だと思っていたのは、実は基礎体力が不足していたのかもしれないということにも初めて気付きました。考えてみてください、1日数時間、全神経を集中して、自分の中にあるすべてをひねり出して何かに取り組む。しかも、ずっと座っているから、「書く」ことはアスリートさながらの負荷を心身に要求されるのです。
おかげで、僕は基礎的な体力と精神力、集中力、忍耐力を培うことができたと思っています。そして何より、ランニング後の爽快感と心の余白が、創造性を育んでくれました。1日にたまった邪気が抜ける感じ。だから今でも僕は、ほぼ毎日30〜60分、5〜10kmを走っています。周りからはストイックと言われますが、これが僕のリラクゼーションであり、最高の余白、心をゆるめる時間なのです。
思いがけず開いた扉
さて、原稿を書き上げた後、衣良さんに見せると「よく頑張ったね!いいと思う!」と言ってくださり、知り合いの編集者さんに(衣良さんを介して)読んでいただけることになりました。これには、本当に感謝しかありません。
しかし、彼が持っていってくださった三つの大手出版社からは、残念ながら良い返事はいただけませんでした。そして時代はコロナ禍に突入。「会う力」どころか「会えない」時代になってしまったのです。
そんな中、転機が訪れます。ある編集者Kさんを通じて、僕はインタビューしたいプロフェッショナルの方の連絡先を探していました。Kさんは「直接はわからないけれど、新潮社で担当しているHさんをご紹介します」と言ってくださいました。
新潮社のHさんにご挨拶とアポ取りのメールを送ると、2週間ほど後に留守電が。「残念ながら、今回はお断りでした」という返事でしたが、驚くことにメッセージはそこで終わりませんでした。
「私、早川さんのことをあまりよく存じあげなかったのですが、今回ご縁をいただいたことで、非常にユニークなキャリアや生き方をされているとお見受けしました。よろしければ一度お目にかかれませんか」
こうして神楽坂の新潮社に足を運び、Hさんと初めて対面。僕は思い切って、完成していた『会う力』の原稿をお見せしました。Hさんは数分見て、「これは面白い。今すぐにでも本にできると思います。でも、さらにブラッシュアップもできる。もっとポテンシャルがある本だと思います」と言ってくれたのです。
編集者と歩いた長い道
こうして原稿のブラッシュアップが始まりましたが、それが2020年のコロナ禍真っ只中。ここからがまた長かったのです。
Hさんは超多忙な中、何度も何度も「なぜ会うことが必要なのか?」「誰に読んでほしいのか?」「読者にとっての価値は?」と突っ込んでくださいました。そうこうするうちに1年半が過ぎ、その間、僕は父のがん闘病があり、コロナ禍での会社経営もあり、毎日生きていくのが精一杯の状態でした。そんな状況もあり、少しずつHさんと僕とのやりとりは少なくなってしまっていました。
2022年3月31日、父が逝去。その後数ヶ月は母のサポートに奔走し、ようやく少し心身に余裕ができた頃、「出版の話はこのまま自然消滅してしまうかもしれない」と感じていることを衣良さんにご相談したところ「出版の可能性がないなら、先方に正直に伝えてもらい、次にあたってみたら」とアドバイスを受けました。
みなとみらいの快晴の下、僕はHさんに電話をかけ、正直な気持ちを伝えました。すると彼は「あと少し何かがはまれば行ける気がするんです、もう一度だけ直接『会い』ませんか」と言ってくれたのです。
この対面で不思議なことが起きました。以前より自然な対話ができたのです。振り返ると僕はこのときまでは「何とかものにしたい」という熱が高すぎたのかもしれません。このとき、抱えていたものを「手放した」感じでした。
数週間後、Hさんから「申し訳ないのですが、自分はどうしても時間をこれ以上取ることが難しい。でもこれは本にする価値があることに変わりありません。だから同じ志を持ってやってくれる編集者を社内で探しています」との連絡が。そしてさらに数週間後、「原稿を見て興味を持ち、本にしたいという編集者が見つかりました」と連絡がありました。こうして担当編集者のSさんとの出会いが実現。2022年7月、ようやく正式に出版が決まりました。
「序章」という名の高い壁
ここからがさらなる挑戦でした。特に序章—なぜ会うことが必要なのか、会う力とは何か—を書くのに半年近くかかりました。老若男女問わず多くの人に届けたい思いと、出版社の「誰に読んでほしいのか明確に」という要望の間で、何度も何度も書き直しました。
ついに弱音を吐いた僕に、HさんとSさんはわざわざ時間を作ってくださり、「うまく言えませんが、早川さんの『まだ完成していない』その感じがいいんです。この先どうなるか見てみたい」と言ってくださいました。
お二人からいただいたエールをきっかけに、僕はそれまで書いてきた序章を手放して、ゼロから書き直すことを決意しました。そしてさらに試行錯誤すること数カ月ついに、序章が通りました。涙が出るほど嬉しかったです。
その後は驚くほど各章の執筆はスムーズに進み、原稿は2024年4月に完成。さらに本に登場していただいた方々への掲載許可取得に3ヶ月をかけ、今日の出版を迎える運びとなりました。
そして何かが手のひらを離れる
ここまで『会う力』誕生秘話を前後編でお届けしましたが、僕の起業一代記のようになってしまいました。すみません。
「努力し、やることをやって、最後に手放す」──これが不思議とうまくいくことが多いように感じます。もちろん結果論ですし、すべてこれで叶うわけではありません。でも、手放したものが、時を経て別の形で戻ってくることがある。それが「届いた勇気」なのかもしれません。
振り返れば、数え切れない方との「出会い」があって、ここまでなんとか歩んでくることができました。誰かとお目にかかるたびに、小さな種がまかれ、気づかぬうちに何かが育っていく。そんな日々の積み重ねが、今の僕をつくっています。
出版も、人生も、思い通りにはいかないけれど、だからこそ驚きや喜びがある。手放した先に、新しい何かが届くのを待つ勇気。これからもその勇気を大切にしていきたいと思います。
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『LIFEUPDATE』最新インタビュー
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今回は特別企画として、普段はインタビュアーを務める僕が、初の著書『会う力』について語ります。聞き手を務めてくださったのは、『読みたいことを、書けばいい。』が16万部を超えるベストセラーとなり、出版社の代表も務める田中泰延さん。
『会う力』は、人生のどん底にいた僕が「会いたい人に会いに行く」というシンプルな行動を通じて、劇的に人生を変えた経験から生まれた一冊。
本対談では、「誰と出会うか」ではなく、「誰に会いに行くか」が重要である理由を掘り下げていただきました。
インタビューを重ねて得た気づき、そして「会う前・会った時・会った後」という独自のフレームワークについて、田中さんとの対話を通じてお話ししています。
また、人脈づくりとは異なる「本当に意味のある出会い」とは何か? 本の執筆に10年以上をかかった理由、出版を通じて感じた覚悟と変化、さらには「もし無一文になったら何をする?」というユニークな問いへの答えまで。
普段は聞き手に徹してきた僕が、今回は自らの人生観と経験を語る側へ。『会う力』が持つ本質的な価値に迫る、ここでしか聞けない特別対談となりました。
【ゲスト略歴】田中泰延(たなか・ひろのぶ)/ひろのぶと株式会社代表取締役社長。1969年大阪生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社電通でコピーライターとして24年間勤務ののち退職、2017年から「青年失業家」を名乗り、ライターとして活動を始める。19年、初の著書『読みたいことを、書けばいい。』(ダイヤモンド社)がAmazon書籍総合一位を獲得、16万部超のベストセラーとなる。21年、『会って、話すこと』(ダイヤモンド社)を上梓。
https://hironobu.co/
逢坂冬馬さん『ブレイクショットの軌跡』インタビュー決定!質問募集中(3/20〆切)
LIFE UPDATEの最新インタビューで、作家・逢坂冬馬さんにお会いすることになりました。
新刊 『ブレイクショットの軌跡』 について、前回の 『同志少女よ、敵を撃て』 インタビュー(YouTube版 / Podcast版)以来、およそ3年ぶり。急遽決まったので、まだ読み始めたばかりですが、帯の佐藤究さんのコメント、
「気づけば正多面体ができ上がっているような展開に魅了された。人は皆、〈誰か〉にとっての〈誰か〉なのだ。」
そして 『同志少女よ〜』を超える最高傑作 という言葉に、すでに期待が膨らんでいます。
本の紹介を読むと、こんなストーリーのようです。
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2年11カ月の寮生活を終えようとする期間工、本田昴。
最後の夜、彼が目撃したのは、SUV「ブレイクショット」に仕掛けられた、たったひとつの“異物”。それを見過ごせば、明日からは自由の身。
けれど、その小さな違和感が、彼を思わぬ世界へと引きずり込んでいく。
マネーゲーム、偽装修理、悪徳不動産、SNSの狂騒……持ち主が変わるたび、車は社会の暗部を映し出し、気づけば、僕らのすぐ隣にある世界が立ち上がってくる。
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装幀デザインは、佐藤究さん『トライロバレット』 と同じ川名潤さん。先日、究さんが「作品の世界観に合うプレイリストを川名さんにお渡しした」と仰っていましたが、逢坂さんの場合はどうなのか。そんな話も聴いてみたい。
みなさまから逢坂さんへの質問も募集中です!
〆切が短くてすみませんが、気になることがあればぜひ。
▶ 質問フォームはこちら(3/20〆切)
https://forms.gle/aenDuazmDQa7yRXS9
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、『会う力』の話が中心になりましたが、
エッセイも、田中さんとの対談も、本も
どこかでふと、誰かの背中をそっと押せるものになれたらこれほど嬉しいことはありません。
どうか穏やかな一週間を。
プロインタビュアー 早川洋平
【略歴】早川洋平(はやかわ・ようへい)/1980年横浜生まれ。中国新聞記者等を経て2008年起業。羽生結弦、よしもとばばな、髙田賢三、ケヴィン・ケリーら各界のトップランナーから市井の人々まで国内外分野を超えてインタビュー。13年からは戦争体験者の肉声を発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。『We are Netflix Podcast@Tokyo』『横浜美術館「ラジオ美術館」』『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』等メディアプロデュースも多数。
▼最新刊『会う力-シンプルにして最強の「アポ」の教科書』(新潮社)
➡ 特典&詳細はこちら → https://yohei-hayakawa.com/auchikara.html
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▼本やセミナーでは見つからない
あなたの可能性や悩みの解決の糸口を
早川洋平が1対1で引き出します
『LIFEUPDATE SESSION』
https://yohei-hayakawa.com/session.html
▼僕のメンター北川先生の教えの核心を
音声プログラムとしてまとめました
『才能がもたらす平和感』
https://pro.form-mailer.jp/lp/e8613bc9321246
▼時代や環境に左右されない力を。
『会う力』養成講座
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