自分を偉いと思わないこと│逢坂冬馬さん(作家)(11th Apr. 2025)
■今夜、ラジオに出ます。
今夜、BAYFMの生放送番組『今週わず』(金曜21時〜)にゲスト出演します。
声優・森久保祥太郎さんと、新刊『会う力』について語ってきます。
言葉にならない何かを、言葉にして話す夜になりそうです。
お時間合う方、radikoでぜひお聴きください(タイムフリーもあります)。
■もし、“いま”を映像に残すなら
この春から、「ポートレート・インタビュー」という試みを始めました。
あなたや、大切な誰かの想いや価値観を、僕との対話を通じて“映像”に残すサービスです。
先週おひとり、今週もおひとり──
静かな対話を重ねながら、それぞれの人生を、ていねいに収録しています。
4月15日(月)までは、春のキャンペーン価格での受付中。
このタイミングで、よかったらのぞいてみてください。
■正直、自分には関係ない本だと思ってたけど……
──読んでみたら、すごくよかったです。
そんな声を、最近とてもよくいただきます。
たしかに『会う力』というタイトルや、「シンプルにして最強のアポ取りの教科書」というサブタイトルを見れば、営業やフリーランス向けのハウツー本と思われても仕方ありません。
でも、ぼくがこの本でいちばん伝えたかったのは、そこではありません。
『会う力』は、“あなたとあなたの人生”を、自分の手で少しずつデザインしていくための本です。
誰かと会うことで、自分の中にあった「ほんとうはこう生きたかった」に、ふと気づく瞬間がある。
これまで2000人以上と対話を重ねてきた中で、そんな場面に何度も立ち会ってきました。
特別な誰かでなくてもいい。
友人や家族、あるいは「昔の自分」にもう一度、会いに行くようなことだってあるかもしれない。
「最近ちょっと迷っている」
「なんとなく流されてる気がする」
「もっと、自分らしく生きたい」
そんな思いがある方に、読んでいただけたらうれしいです。
まずは、立ち読み感覚でどうぞ。スマホやPCで冒頭が無料で読めます。
■「人生を変える15分の対話」、始まりました。
この春から、世界を舞台に活躍する作家・本田健さんと、ふたたび“ふたりの対話”を始めました。
シリーズ名は「人生を変える15分の対話」。
人間関係、お金、仕事、読書──
激動の時代に、心を守りながらしなやかに生きるためのヒントを、毎週15分の対話の中で静かに紡いでいます。
初回のテーマは「出会いの力が人生を動かす」。
ふたりそれぞれの出会いと転機、出会いを活かす心のあり方について語り合いました。
■LIFE UPDATE WORDS
各界のトップランナー、プロフェッショナル、市井の人々……早川洋平が国内外でお話をうかがった様々な方からうかがった人生をアップデートする言葉をご紹介します。
WORDS.6
自分を偉いと思わないこと
逢坂冬馬さん(作家)
「小説がなくても、文明は続くと思うんです。でも、それはすごく寂しい世界だと思うんですよね」
静かな声で、逢坂冬馬さんはそう語った。
その言葉を聞いたとき、僕はふと、音のない映画を思い出した。ストーリーは進んでいるのに、音楽がないだけで、登場人物の気持ちや場面の余韻がどこか希薄に感じられる。確かに社会は、小説がなくても動いていく。でも、物語や感情がなければ、日々の出来事はただの「情報」で終わってしまう。小説とは、その背景にある人間の揺れや祈りに光を当てる装置なのかもしれない。逢坂さんの言葉は、そんな想像を呼び起こしてくれた。
新刊『ブレイクショットの軌跡』は、これまでの重厚な戦争文学とは異なり、光の物語に感じられた。けれど、彼のまなざしは変わらない。世界の片隅で生きる「小さな誰か」に寄り添い続ける姿勢。その根底にあるのが、逢坂さんの語った「自分を偉いと思わないこと」だと思う。
この言葉には、単なる謙虚さを超えた強さが宿っている。ただ腰を低くするのではなく、自分の“正しさ”すら一度手放してみること。他者の言葉やまなざしに、フラットに身を開いていく覚悟。そういう在り方が、彼の作品には通奏低音のように流れている。
逆に言えば、「自分は偉くない」と思い込むこととも違うのだろう。逢坂さんには、評価や立場を超えた“ゼロ地点”にいつも立ち返るような、そんな透明な意志を感じる。
思えば僕自身、「人に会いに行く」という行為も、それに少し似ている。相手を「すごい人」と仰ぎ見るのでもなく、自分を「下げて」へりくだるのでもなく。ただ、まっすぐに話を聞き、背景にある人生を想像しようとすること。それが、出会いの本質であり、対話のはじまりなのかもしれない。
自分を偉いと思わないこと──
それは、つながるための姿勢であり、成長し続けるための原点でもある。逢坂冬馬さんの言葉と背中が、それを静かに教えてくれた気がした。
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■『LIFEUPDATE』最新インタビュー【#264】
その一打で、人生は動き出す │ 逢坂冬馬さん(作家)
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今回のゲストは、作家・逢坂冬馬さん。 2021年、『同志少女よ、敵を撃て』で鮮烈なデビューを果たし、本屋大賞とアガサ・クリスティー賞をW受賞。以降も、戦争という極限状況を背景に、人間の選択や関係性を描いてきた。物語性とテーマの両立により、フィクションの射程を着実に広げている。
新刊『ブレイクショットの軌跡』は、一台の車を通して複数の人生が交差する壮大な群像劇。工場での製造から、所有、譲渡、暴力、再生へ──登場人物の変化が車の軌跡と共に描かれる。
時代と場所を越えて継承されるのは、物質ではなく関係性と選択の連鎖。
中心にあるのは、善悪ではなく“赦し”の可能性だ。
小説家にとって構造とは何か。ジャンルを横断するとはどういうことか。
「ルールを守って賢く生きる」時代に、あえて書かれるフィクションの意味とは。 逢坂さんが語る創作の背景から、“いま”という時代を読み解くための視点が立ち上がる。誰かの一打が、いつか別の誰かの人生を動かす──そんな連鎖のなかに生まれる物語についてうかがった。
【ゲスト略歴】逢坂冬馬(あいさか・とうま)/1985年、埼玉県生まれ。明治学院大学国際学部国際学科卒。2021年、『同志少女よ、敵を撃て』で第11回アガサ・クリスティー賞を受賞しデビュー。2022年、同作で本屋大賞、第9回高校生直木賞を受賞。第166回直木賞候補にも選ばれる。2023年には第2長篇『歌われなかった海賊たち』を刊行し、第15回山田風太郎賞候補に。2025年、『ブレイクショットの軌跡』で新たな地平を切り拓く。
■編集後記
このニューズレターが配信される17時半頃、ちょうど僕は家を出て、海浜幕張のBAYFMのスタジオへ向かうところです。
夜9時過ぎから、生放送。
朝型人間の僕にとっては、普段ならそろそろ寝る準備をしている時間帯。
それなのに、今日は夜にスタジオで喋るという、なんとも不思議な1日です。
ありがたいことに、仕事柄ほとんど緊張はしないのですが……
本番の敵はきっと、眠気です。笑
今朝は本田健さんとの収録からスタートし、「激動の時代を生きるために大切なこと」「人生を変えた1冊」「筋の通し方」なんてテーマについて語り合ってきました。
声を出す日って、なぜか、気づきも多い。
言葉にしてみて初めてわかること、誰かと話すことでふと軽くなる気持ち──
そんな時間が、あなたにもありますように。
どうか、よい週末をお迎えください。
プロインタビュアー 早川洋平
【略歴】早川洋平(はやかわ・ようへい)/1980年横浜生まれ。中国新聞記者等を経て2008年起業。羽生結弦、よしもとばばな、髙田賢三、ケヴィン・ケリーら各界のトップランナーから市井の人々まで国内外分野を超えてインタビュー。13年からは戦争体験者の肉声を発信するプロジェクト『戦争の記憶』にも取り組む。『We are Netflix Podcast@Tokyo』『横浜美術館「ラジオ美術館」』『石田衣良「大人の放課後ラジオ」』等メディアプロデュースも多数。
▼最新刊『会う力-シンプルにして最強の「アポ」の教科書』(新潮社)
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